横浜地方裁判所 昭和47年(わ)637号 判決 1972年9月28日
本籍
大分県大野郡大野町大字夏足五九一
住居
神奈川県横浜市瀬谷区二ツ橋町二九一番の四
医師
堀健一
昭和二年一二月四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官江川功出席のうえ、審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を罰金八、〇〇〇、〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、横浜市瀬谷区二ツ橋町二九二番地において、産婦人科医院を営み、その事業主として業務全般を統括しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、堀芳枝、北見善志子と共謀のうえ、収入の一部を除外して架空名義の普通預金に入金する等の不正手段により所得の一部を秘匿したうえ、
第一、被告人の昭和四四年分の実際の所得金額は三七、一八五、六五二円で、これに対する所得税額は一九、五二〇、二〇〇円であるのに、昭和四五年三月一三日、横浜市保土谷区帷子町二丁目六四番地所在の所轄保土谷税務署において、同署長に対し右年分の所得金額は一九、四三一、七一五円で、これに対する所得税額は八、五八六、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告人の右年分の正規の所得税額一九、五二〇、二〇〇円と右申告税額との差額一〇、九三四、二〇〇円をほ脱し
第二、被告人の昭和四五年分の実際の所得金額は、五二、七〇八、二〇三円で、これに対する所得税額は、二八、九九七、〇〇〇円であるのに、昭和四六年三月八日、前記保土谷税務署において、同署長に対し、右年分の所得金額は三〇、〇七九、四八三円で、これに対する所得税額は一四、五九八、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告人の右年分の正規の所得税額二八、九九七、〇〇〇円と右申告税額との差額一四、三九八、四〇〇円をほ脱したものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公廷における供述
一、被告人の大蔵事務官に対する供述調書 三通
一、被告人の検察官に対する供述調書
一、堀芳枝の大蔵事務官に対する供述調書 七通
一、堀芳枝作成の上申書 二通
一、堀芳枝の検察官に対する供述調書
一、北見善志子の大蔵事務官に対する供述調書 五通
一、北見善志子作成の減価償却費の明細について
一、北見善志子の検察官に対する供述調書
一、金子勇二作成の取引の内容について 二通
一、三橋孝作成の上申書
一、田村哲夫作成の上申書
一、鈴木英明作成の上申書
一、久米田正一作成の取引の内容について
一、岡本恒男作成の取引の内容について
一、小笠原利已作成の証明書
一、鈴木博次作成の取引の内容について
一、鈴木博次作成の証明書
一、森信一郎作成の出資者名簿等の写の提出について
一、森井注作成の上申書
一、高野孝作成の証明書および確認書
一、吉原正義作成の申述書
一、波津久敏子、天野寿恵(二通)榛沢敏郎(二通)木我寛、西田啓助、平野正雄、古谷ヤヱ子の大蔵事務官に対する各供述調書
一、西田啓助作成の上申書
一、平野正雄作成の上申書
一、吉川憲治作成の回答書
一、平野治平作成の堀医院との取引内容について
一、酒井昭二作成の堀健一殿との取引内容について
一、丹羽猛作成の工事記録台帳写の提出について
一、川本工業株式会社作成の上申書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書二通および脱税額計算書説明資料 二通
一、押収の確定申告書二葉、修正申告書三葉、所得税青色申告決算書三綴、収入メモ帳五冊、収入メモ帳三綴、収入メモ帳一袋および収入メモ三袋(昭和四七年押第二八九号の一ないし一七)
(法令の適用)
判示各所為につき、所得税法第二三八条第一項、刑法第六条、第一〇条、昭和四七年法律第六一号により改正前の罰金等臨時措置法第二条、第六〇条、罰金刑を選択。
罰金額の合算につき、刑法第四五条前段、第四八条第二項。
労役場の留置につき、同法第一八条
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 高井清次)
右は謄本である。
昭和四七年一〇月二六日
横浜地方裁判所 第四刑事部五係
裁判所書記官 山下正祐